후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
殿様は今夜もあの灯の中に溺れているのではあるまいかと、お時は寒い夜風にひたいを吹かれながら、いつまでも廓の紅い空をじっと眺めていた。
二
お時が案じていた通り、外記は丁度そのころ吉原の駿河屋という引手茶屋に酔っていた。
二階座敷の八畳の間は襖も窓も締め切って、大きい火鉢には炭火が青い舌を吐いていた。外の寒さを堰き止められて、なまあたたかく淀んだ空気のなかに、二つの燭台の紅い灯はさながら動かないもののように真っ直ぐにどんよりと燃え上がって、懐ろ手の外記がうしろにしている床の間の山水の一軸をおぼろに照らしていた。青銅のうす黒い花瓶の中から花心もあらわに白く浮き出している梅の花に、廓の春の夜らしいやわらかい匂いが淡くただよっていた。外記の前には盃台が置かれて、吸物椀や硯蓋が型の如くに列べてあった。
相手になっているのは眉の痕のまだ青い女房で、口は軽くても行儀のいいのが、こうした稼業の女の誇りであった。茶色の紬の薄い着物に黒い帯をしゃんと結んで、おとなしやかに控えていた。
「花魁ももうお見えでござりましょう。まずちっとお重ねなされまし」と、彼女が銚子をとろうとすると、外記は笑いながら頭をふった。