후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
その心づかいは神経のするどい綾衣によく判っていた。殊に外記が今夜の笑い顔には、拭き消すことのできない陰った汚点が濃くにじんでいるのを認めていた。
「なんだか今夜は顔の色が悪うおす。また風邪でも引きなんしたかえ」
綾衣は枕もとの煙草盆を引き寄せて、朱羅宇の長煙管に一服吸い付けて男に渡した。
外記は天鵝絨に緋縮緬のふちを付けた三つ蒲団の上に坐っていた。うしろに刎ねのけられた緞子の衾は同じく緋縮緬の裏を見せて、燃えるような真っ紅な口を大きくあいていた。綾衣は床の中へは入らずに、酔いざめのやや蒼ざめた横顔をうす暗い行燈に照らさせながら、枕もとにきちんと坐っていた。
「いや、おれは別にどうでもない。お前こそこの頃は顔の色がよくないようだが、また血の道でも起ったのか」
「いいえ」
外記のくゆらす煙りは立て廻した金屏風に淡い雲を描いて、さらに枕もとの床の間の方へ軽くなびいて行った。綾衣は雛を祭らなかったが、床の間には源平の桃の花が生けてあった。外記は夜目に黒ずんだその花を見るともなしに眺めていた。二人は又しばらく黙っていた。
女は男の心の奥を測りかねていた。男は言うに言われない苦労を胸に抱えているらしく思われるのに、なぜあらわに打ち明けてくれないのか。