후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
た。おさない時に死に別れた父母のことも思い出された。十九の歳に芝のあきんどから身請けの相談があったが、抱え主は金で折り合わず、自分も気に入らないので断わったが、あの時に請け出されていたら今頃はどうなっているだろうなどとも考えた。お米と十吉とがやっぱり羨ましくも思われた。
表はすっかり暮れてしまって、暗い空にはかぞえるほどの少ない星が弱々しく光っていた。露のおもい夜の空気は冷やびやと人の肌に触れた。村の家々では迎い火を焚きはじめた。竹籬のあいだや軒下に寂しい火の光りがちらちらひらめいて、黒い人影や白い浴衣が薄暗いなかに動いていた。お時も焙烙に苧殻を入れて庭の入り口に持ち出した。やがて火打ちの音がやむと、お時の手を合わせている姿が火の前にぼんやりと浮き出した。
白い帷子を着ている外記が、いつの間にか苧殻の白い煙りの中に立っていた。お時はようよう気がついた。
「ああ、殿様」と、彼女は表を窺いながら小声で言った。「ほかに誰もおりませぬ。さあ、お通り遊ばしませ」
外記は編笠をぬいで縁にあがった。お時は迎い火を消して、同じく内にはいった。
外記がはいって来た気配を知ると、綾衣は眼が醒めたように俄かに晴れやかな気分になって、今まで何を考えていたかも忘れてしまった。