후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
こうした諦めを付けるまでには、彼の眼からは男らしくもない涙が幾たびかにじんだ。
その日は御用があって、林之助はどこへも出られなかった。きょうもきっと来てくれとお君に口説かれたことを思いながらも、彼はどうすることも出来なかった。彼はお絹の怨みを恐れながらも、とうとう両国橋を渡る機会がなかった。あくる日もまた忙がしかった。彼は白金や渋谷の果てまで使いにやられた。この頃は意地の悪いように屋敷の用があるので、彼はすこし焦れったくなって来た。なるほどお絹のいう通り、屋敷奉公をやめた方が気楽かも知れないと思うこともあった。
しかし林之助は大小を捨てて町人になろうとは思わなかった。お絹の縁に引かれながらも、手ぶらでいつまでも彼女の厄介になっていたくもなかった。屋敷をやめれば忌でも応でもお絹のふところへ戻らなければならない。朝晩におそろしい蛇の眼と睨み合っていなければならない。林之助は第一にそれを恐れていた。やはり今のように遠く懸け離れていて、そうして時どきに逢っているのが一番無事であると信じていた。
九月八日の午前に、林之助はちょっとの隙きを見て両国へ行った。