후리가나로 읽는 일본 고전
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 江戸情話集(かごつるべ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 203,779자 · 407화면
六三郎は或る出入り場の仕事から帰って来て、それから近所の風呂屋へ行った。濡れた手拭をさげて風呂屋の門を出るころには、細かい雨がひたいにはらはらと落ちて来た。
「もし、もし」
うす暗い路ばたから声をかけられて、六三郎は立ち止まった。呼びかけた人は旅ごしらえをして、深い笠に顔をつつんでいた。
「お前は大工の六三郎さんではござりませぬか」
「はい。わたしは六三郎でござります」
旅びとはあたりをちょっと見返ったが、やがてずっと寄って六三郎の手をとった。驚いて振り放そうとしたが、彼は掴んだその手をゆるめなかった。
「六三。よく達者でいてくれた。おれは親父の九郎右衛門だ」
足掛け十年振りで父に突然めぐり合った六三郎は、嬉しさと懐かしさに暫くは口も利けなかった。彼は父の手にすがってただ泣いていた。
父はどこで聞いたか、我が子が大宝寺町の庄蔵親方の世話になっていることをもう知っていた。そうして、おれは当時西国の博多に店を持って、唐人あきないを手広くしている。一年には何千両という儲けがある。それでお前を迎いに来た。大工の丁稚奉公などしていても多寡が知れている。おれと一緒に西国へ来て大商人の跡取りになれと囁いて聞かせた。