후리가나로 읽는 일본 고전
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くつかけより
沓掛より
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 沓掛より(くつかけより)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,751자 · 18화면
盆踊りといえば生来ただ一度、それも明治三十四五年ごろ、土佐のあるさびしい浜べの村で一晩泊まった偶然の機会に思いがけない見物をしただけで、それ以後にはついぞ二度とは見たことがなかった。そのころにはこういうものは、「西洋人に見られると恥ずかしい野蛮の遺習」だというふうに考えられて、公然とはできないことになっていたように記憶する。それでも、都会離れたこの浦里などでは、暗いさびしい貴船神社の森影で、この何百年前の祖先から土の底まで根をおろした年中行事がひそやかに行なわれていた。なんの罪もない日本民族の魂が警察の目を避けて過去の亡霊のように踊っていたのである。それがこのごろでは、国民思想涵養の一端というのであろうか、警察の許可を得て、いつのまにか復旧されて来たように見えるのである。
H温泉旅館の前庭の丸い芝生の植え込みをめぐって電燈入りの地口行燈がともり、それを取り巻いて踊りの輪がめぐるのである。まだ宵のうちは帳場の蓄音機が人寄せの佐渡おけさを繰り返していると、ぽつぽつ付近の丘の上から別荘の人たちが見物に出かけて来る。はじめは小さな女の子など、それに帳場の若い人たちが加わって踊っているうちに、だんだんにおとなも加わって、いつとなしに踊りの輪が丸くつながる。