후리가나로 읽는 일본 고전
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ぬまのほとり
沼のほとり
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 沼のほとり(ぬまのほとり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 7,788자 · 16화면
八重子は機械的にそれをめくっていました。話の方に気を取られていました。それでも、あるところで、突然、手をとどめ話をやめて見つめました。
島田髷に結った若い女の半身、洋髪に結った二人の女の舞台に坐ってる姿、二葉の写真が、そこにありました。それが、紛うかたなく、沼のほとりのあの女でした。殊に、舞台の方、金屏風をうしろにして、三味線をかかえた年増の人をそばに総のさがった見台に向って、ぴたりと、小揺ぎもなく坐っていますのが、あの女でした。
八重子はその写真を指し示しました。
「これ、誰ですの。」
清子は、写真の方ではなく、八重子の顔を眺めました。
「あら、御存じありませんの。寅香さん……それ、高次さんのあのひと……。」
「これが……。」
歌沢寅香、本名は小川加代子、かつて親戚や友人間に問題となった柳橋の芸妓で、深見高次の愛人でありました。
彼女と高次との間がどういうものであったかは、本人たち以外には分りません。表立った事柄としては、高次が周囲の反対を押し切って、彼女と結婚すると宣言したことでした。それから、周囲の反対が高まるにつれて、高次の意志もますます強固になり、一時、彼女に御座敷を休ませて、二人で旅に出たりしたこともありました。