일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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しせい

消えた受賞作 直木賞編

富田 常雄

富田 常雄의 消えた受賞作 直木賞編(しせい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,806자 · 36화면

아오조라 문고

そして、ミチの肉体を征服しようなぞとは夢にも思わないのだ。彼はこんな慾望の現れが常識の世界に存在しないなぞとは気が付かなかった。彼は洋服を着たミチに金を無心されると、父親の様な心理が働き、若い娘を持った父の表情で、憤りでなくいかめしい顔と姿勢を作って金を与えるのだ。そして、彼はそれが幸福であった。

*

裏口からの客すらも、未だやって来ない、夜明け前の流し場に、ミチは熱い浴槽から出た薔薇色の肉体をタイル張の流し場にぐったりと投げ出す。立って、体中に石鹸の泡を塗りまくる。そして、上り湯を思い切りよく浴びる。藤三は湯釜の上に胡坐を掻いては居ない。彼は流し場に出て来て、せかせかと忙がしそうに働く。一つは主人達の眼をくらます為であり、主な理由はそうして働きながら、眼の角に入れるミチの刺青の肉体が彼を異常な歓喜に陥入れるのだ。この秘密なよろこびは彼以外の誰にも感じられぬものであった。ミチすらも、この変質者の慾望を理解出来なかった。彼女にすれば、藤三の希望はあまりにもお安い御用であった。半歳の間、痛さと発熱を堪えて施した刺青は、ただ、姐御の資格を肉体に付け、他の女と区別するためのものであり、その図柄は有名な刺青師に任かせ切りにしたものである。