일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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おんよく

温浴

坂口 安吾

坂口 安吾의 温浴(おんよく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 3,642자 · 8화면

아오조라 문고

今の家へは、温泉がぬるいというのを承知の上で越してきた。

伊東は市ではあるが、熱海とは比較にならないほど、ひなびている。けれども温泉場であるから、道路には広告塔があって休むことなく喋りまくり唄いまくっているし、旅館からは絶え間なくラジオががなりたてて、ヘタクソなピアノもきこえる。先方も商売であるから、静かにしろ、と云うわけにはいかない。

よそは住宅難だが、伊東には売家も貸家も多い。伊東は海山の幸にめぐまれて食糧事情がよかったが、東京も食糧事情がよくなったので、不便を忍んで通勤していた人たちが東京へ戻りはじめたのである。

閑静で温泉もあるという家は売家だから住めない。貸家の方はたいがい山の上の温泉のない家で、ぜひ住んでくれないかと云ってきた空別荘も、景勝閑静な山荘であったが、温泉がなかった。

今の家は比較的街に近くて、この上もなく閑静だ。私の書斎の下は音無川で、一方は水田であり、自分の家の物音以外は殆ど音というものがない。その上、温泉もあるというから、非常にぬるい温泉だと仲介者も差配も家主も念には念を入れてダメを押したのを承知の上で越してきた。

奇妙な貸家で、だいたい差配というものは家主に使われているのが普通のはずであるが、ここはアベコベに、差配が伊東で一二を争う金持で、御殿のような大邸宅に住んでいる。