일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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かせいのうんが

火星の運河

江戸川 乱歩

江戸川 乱歩의 火星の運河(かせいのうんが)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,715자 · 10화면

아오조라 문고

又あすこへ来たなという、寒い様な魅力が私を戦かせた。にぶ色の暗が私の全世界を覆いつくしていた。恐らくは音も匂も、触覚さえもが私の身体から蒸発して了って、煉羊羹の濃かに澱んだ色彩ばかりが、私のまわりを包んでいた。

頭の上には夕立雲の様に、まっくらに層をなした木の葉が、音もなく鎮り返って、そこからは巨大な黒褐色の樹幹が、滝をなして地上に降り注ぎ、観兵式の兵列の様に、目も遙に四方にうち続いて、末は奥知れぬ暗の中に消えていた。

幾層の木の葉の暗のその上には、どの様なうららかな日が照っているか、或は、どの様な冷い風が吹きすさんでいるか、私には少しも分らなかった。ただ分っていることは、私が今、果てしも知らぬ大森林の下闇を、行方定めず歩き続けている、その単調な事実だけであった。歩いても歩いても、幾抱えの大木の幹を、次から次へと、迎え見送るばかりで景色は少しも変らなかった。足の下には、この森が出来て以来、幾百年の落葉が、湿気の充ちたクッションを為して、歩くたびに、ジクジクと、音を立てているに相違なかった。

聴覚のない薄暗の世界は、この世からあらゆる生物が死滅したことを感じさせた。