후리가나로 읽는 일본 고전
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
室生 犀星의 犀星王朝小品集(おぎふくうた)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 105,794자 · 211화면
「暖かい方でなされい。」
「はい。」
そばに寄って来た貞時は、いかにも、世なれぬ無躾さで筒井に求めた。
「手をお見せ。」
「はい。」
「そのように荒れているではないか、手はたいせつになさい。」
「まあ。」
筒井はあわてて羞かしそうに、見詰められた手を引き込めた。引き込めたが、貞時は手の荒れだけを注意したにすぎないので、筒井自身は彼よりずっと心に何かさまざまな覚えのある女であることを知り、貞時の心のうるわしさをあらためて覚えた。
「では手はたいせつにつかうようにいたします。」
そういって、彼女はなんとなく笑い、貞時もなんとなく答えるように笑った。ふと、筒井は一たいこの手は何人の手であろうか、何人が触れてくる手であろうかと、心のずっと奥の方で彼女はこっそりと考えた。同じ思いは貞時にもあった。彼女の手の荒れや顔の荒れを怖れ、それを防ぐようにいう貞時はもはや筒井の手も顔も、そうしてその心も彼自身のもののように思われるからだった。その考えに間ちがいがあろうとは青年はかんがえなかった。
「筒井どの、いつかはお身の心まかせになるときがあるだろう、と思われぬか。」
「そのような考えをいいあらわすことは、わたくしとして控えなければならぬような気がいたします。