일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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いちろうじん

犬田卯短編集二

犬田 卯

犬田 卯의 犬田卯短編集二(いちろうじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 51,383자 · 103화면

아오조라 문고

四郎右衛門という家は、同じ部落内のことで、私は幼いときから知っていた。しかしこの老人の存在は、私の知識の範囲外にあったのである。まる二十ヵ年の私の不在の間に、ここの家は空家になってしまっていた。私の記憶にあるのは、陽だまりに草履や笠を手づくりしている一人の老婆と、ささやかな呉服太物の包みを背負って近村を行商して歩いていた四十先きの女房の姿である。この二人のほか、誰もこの家にはいなかった。亭主に死に別れたこの女房には一人の子供があって、それはどこか他県の町に大工を渡世としているとかいったが、たえて故郷へかえるような様子は見えなかったのだ。

いま聞くところによると、無人のこの家に起居している老爺は、舎弟で、つまりあの呉服ものを行商して歩いていた女房の亭主の弟で、少年時東京に出され、徒弟から職工と、いろいろの境遇を経てついに老朽し、職業から閉め出しを喰った人であったのだ。

彼には一人の娘がある。それが浅草辺で芸者をしていて、月々老爺の生活費として十五円ずつ送ってよこす。

「結構な身分さ、たとい芸者だろうと淫売だろうと。……こちとらの阿女らみてえにへっちゃぶれた顔していたんじゃ、乞食の嬶にも貰え手ねえや」