후리가나로 읽는 일본 고전
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いちろうじん
犬田卯短編集二
犬田 卯
犬田 卯의 犬田卯短編集二(いちろうじん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 51,383자 · 103화면
でも「自分のもの」として蓄め込むことに無上の法悦(?)を感ずるRにとって、それは不可抗の誘惑だったに相違ない。ひょっとすると今夜あたり、猪の一枚も間違って入っていないと、誰が保証し得ようぞ。
それにしても家の中はやはり家の中で、決して誰もいない暗夜の野っ原ではなかった。野っ原から家の中への転向し向上した彼にとって、たしかにそこは勝手が違っていた。
彼は家人に見つけられてしまったのである。眠っていると思ったこの家の親父が、あるいは眼をつむったまま、まだ何か考えごとでもしていたのだったかも知れぬ。彼は古い煤だらけの手槍をなげしから外し持ったその禿頭親父のために、横合いから危く突っこ抜かれようとした。辛うじて逃げ出しはしたものの、肝心の証拠をそこに残してしまったのである。
証拠というのは片方の草履だった。音をたてまいために彼がわざわざ穿いて行ったR家独特のぼろを交ぜてつくった、ばかりでなく、その上へご丁寧にも、人に盗まれまいために焼印まで捺した草履だった。
Rのような、かかるコソ泥は、決してどこの村にも珍しくない存在である。彼らは別にその日その日の食物に困っているのでもなければ、公租公課の負担に押しつぶされてしまっているわけでもないのだ。