후리가나로 읽는 일본 고전
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ばんちょうさらやしき
番町皿屋敷
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 33,494자 · 67화면
お菊は胸の奥に彫り付けられているその夜の夢を今更のように思い泛べた。若い主人と若い腰元との恋はそれからだんだんに深みへ沈んで行って、播磨はきっとお前を宿の妻にするとお菊に誓った。お菊もその約束を忘れなかった。彼女の母が不安を懐いている喧嘩買いの白柄組の屋敷も、娘に取っては楽園であった。その主人に対して過日から縁談が持出されているのであるから、若い腰元の小さな胸は安まらなかった。まして、今日は伯母様が膝詰めの掛合いである。たとい一旦はこのままに済んでも、その行末が危ぶまれるので、彼女は途方に暮れたように泣きくずれてしまった。
台所ではお仙と奴との話し声がまだ聞えるので、お菊は急に起って懐ろ鏡を取出した。鏡にうつる泣顔を直して、彼女も台所へ出てゆくと、権次も権六も春の日に光る銀の毛抜で鎌髭を悠々と繕いながら、あがり框に大きい腰を列べていた。お菊の顔を見ると彼等はきいた。
「伯母御はまだ帰られぬか」
「お話はなかなか済みそうもござりませぬ」と、お菊はいった。「しかしいつものお叱言ではないようでござります」
「そりゃ珍しい」と、権次は笑った。「今年の梅雨はひと月早いかも知れぬぞ。