후리가나로 읽는 일본 고전
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 痴人の愛(ちじんのあい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 179,399자 · 353화면
私の勤め先が大井町でしたから、成るべくそれに便利な所を選ぼうと云うので、日曜日には朝早くから新橋の駅に落ち合い、そうでない日はちょうど会社の退けた時刻に大井町で待ち合わせて、蒲田、大森、品川、目黒、主としてあの辺の郊外から、市中では高輪や田町や三田あたりを廻って見て、さて帰りには何処かで一緒に晩飯をたべ、時間があれば例の如く活動写真を覗いたり、銀座通りをぶらついたりして、彼女は千束町の家へ、私は芝口の下宿へ戻る。たしかその頃は借家が払底な時でしたから、手頃な家がなかなかオイソレと見つからないで、私たちは半月あまりこうして暮らしたものでした。
もしもあの時分、麗かな五月の日曜日の朝などに、大森あたりの青葉の多い郊外の路を、肩を並べて歩いている会社員らしい一人の男と、桃割れに結った見すぼらしい小娘の様子を、誰かが注意していたとしたら、まあどんな風に思えたでしょうか? 男の方は小娘を「ナオミちゃん」と呼び、小娘の方は男を「河合さん」と呼びながら、主従ともつかず、兄妹ともつかず、さればと云って夫婦とも友達ともつかぬ恰好で、互に少し遠慮しいしい語り合ったり、番地を尋ねたり、附近の景色を眺めたり、ところどころの生垣や、邸の庭や、路端などに咲いている花の色香を振り返ったりして、晩春の長い一日を彼方此方と幸福そうに歩いて