후리가나로 읽는 일본 고전
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 痴人の愛(ちじんのあい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 179,399자 · 353화면
海水着だの、タオルだの、浴衣だのが、壁や、襖や、床の間や、そこらじゅうに引っかけてあり、茶器や、灰皿や、座布団などが出しッ放しになっている座敷の様子は、いつもの通り乱雑で、取り散らかしてはありましたけれど、何か、しーんとした人気のなさ、―――それは決して、つい今しがた留守になったのではない静かさがそこにあるのを、私は恋人に特有な感覚を以て感じました。
「何処かへ行ったのだ、………恐らく二三時間も前から、………」
それでも私は、便所を覗いたり、湯殿を調べたり、なお念のために勝手口へ降りて、流しもとの電燈をつけて見ました。すると私の眼に触れたのは、誰かが盛んに喰い荒らし、飲み荒らして行ったらしい正宗の一升壜と、西洋料理の残骸でした。そうだ、そう云えばあの灰皿にも煙草の吸殻が沢山あった。あの同勢が押しかけて来たのに違いないのだ。………
「おかみさん、ナオミが居ないようですが、何処かへ出て行きましたか?」
私は母屋へ駆けて行って、植惣のかみさんに尋ねました。
「ああ、お嬢さんでいらっしゃいますか。―――」
かみさんはナオミのことを「お嬢さん」と云うのでした。夫婦ではあっても、世間に対しては単なる同棲者、若しくは許婚と云う風に取って貰いたいので、そう呼ばれなければナオミは機嫌が悪かったのです。