후리가나로 읽는 일본 고전
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しろが
白蛾
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 白蛾(しろが)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,700자 · 22화면
会社へ通勤のための日暮里駅までの彼の往復が、あちこち道筋を変えたり、散歩のように楽しかったりするのも、彼女がその主な原因だったかも知れません。
彼女はたいてい、簡単服だったり、浴衣がけだったり、買物袋をぶらさげていたり、すりきれた下駄をはいていたりして、みなりは粗末でしたが、粗末なだけで汚れは留めず、どこか清楚な趣きがありました。そして顔には薄すらと化粧をし、髪はきれいにとかしていました。岸本省平に眼をとめて、じっと眺めることがありました。或は、くるりと背を向けることもありました。或は、それとなく頭を傾げて会釈することもありました。だが一度も彼女は、笑顔を見せず、微笑の影さえ示しませんでした。
嘗ての空襲の折、この界隈には、焼夷弾も落ち爆弾も落ちました。その爆弾にやられた小さな洋風建築が一つ、高い崖の上に崩れ残っていました。壁は半ば落ち、鉄骨は傾いていました。それを、三四人の男が、至極のんびりと取り壊していました。鉄骨によじ登って壁土を槌で叩き落したり、あちこちにロープをかけ渡したりしていました。遠く崖下から眺めると、少しも危険らしさは感ぜられず、ただぎらぎらした日の光りの中での遊びに似ていました。