후리가나로 읽는 일본 고전
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いそべのわかば
磯部の若葉
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 磯部の若葉(いそべのわかば)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 3,709자 · 8화면
護謨ほうずきを吹くような蛙の声が四方に起ると、若葉の色が愁うるように青黒く陰って来る。
晴の使として鳩の群が桜の若葉をくぐって飛んで来る日には、例の「どうも困ります」が暫らく取払われるのである。その使も今日は見えない。宿の二階から見あげると、妙義道につづく南の高い崖路は薄黒い若葉に埋められている。
旅館の庭には桜のほかに青梧と槐とを多く栽えてある。痩せた梧の青い葉はまだ大きい手を拡げないが、古い槐の新しい葉は枝もたわわに伸びて、軽い風にも驚いたように顫えている。その他には梅と楓と躑躅と、これらが寄集って夏の色を緑に染めているが、これは幾分の人工を加えたもので、門を一歩出ると自然はこの町の初夏を桜若葉で彩ろうとしていることが直に首肯かれる。
雨が小歇になると、町の子供や旅館の男が箒と松明とを持って桜の毛虫を燔いている。この桜若葉を背景にして、自転車が通る。桑を積んだ馬が行く。方々の旅館で畳替えを始める。逗留客が散歩に出る。芸妓が湯にゆく。白い鳩が餌をあさる。黒い燕が往来中で宙返りを打つ。夜になると、蛙が鳴く。梟が鳴く。門附の芸人が来る。碓氷川の河鹿はまだ鳴かない。