후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(一)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 246,214자 · 495화면
その夕べ、渡良瀬川の芦荻の中に小舟をひそめて、彼は身をつつむ蓑笠に、やがて、じっとり降りてくる晩春のおもたい夜を待っていた。
日ごろの水の相は、女体の肢線を思わせるが、渡良瀬川は、あばれ川であった。
ここから上流地方を眺めやれば、赤城、榛名、碓氷など、名だたる山波ばかりである。だからいったん豪雨となれば、上野下野両国の曠野は、あばれ川のあばれ放題な本性になる。
そんな日の激流に削られたような切岸が、足利の町屋根から数町東の岩井村の辺で赤肌をむいていた。そして上には一叢の茂みが見える。――もう二年越しも、きびしい鹿垣の中に一切の出入りを禁じられている千手院の森だった。
今日も、夜となると。
千手院の一と間の灯は、暗い川音に揺れまたたいて、一机の辺りを、ちまちまと照らしていた。
蟄居の人、高氏は、仰向けに寝ころんでいる。――脚を組み、書物を枕に。――そして眼は何を見るともない孤寂そのものだった。
いましがた、廊の口でカタコトと物音がしたのを彼は知っている。いつものように、警固番の者が、夜食の膳を下げ、次の小部屋に寝具を展べて退がったのだ。そんな些事まで、朝暮一切のことは、新田党の手で支配されていた。