후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(一)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 246,214자 · 495화면
ここで彼は好きな読書三昧に送っていた。家書には、兵学の書も多かった。――かの有名な兵学者大江匡房は家の祖である。大江家伝襲の六韜、孫子などの兵書やら外来の蔵書が、彼の手に移っていたとしてもふしぎはない。或いは彼も、匡房に倣って、家学の探究に余生を賭け、それの一大集成を志していたのかもしれない。
「こんな山おくに、妙な人がいつか巣を懸けて、毎日、書を読んでいる」
当時。里人の噂をきいて、いつはやく、時親の門をたたいたのは、ここから遠からぬ赤坂の水分に住む楠木家の一冠者だった。つまり正季の兄、正成である。
これまでの“楠公伝”や河内郷土史などの上では。一様に、幼名多聞丸といった楠木正成は、八歳のころより、同地の大江時親について、兵学を学ぶ――としている。
これがどうも、おかしいのである。なぜ、八歳でなければいけないのか。
おそらくは、伝記筆者がその勉学ぶりを、なるべく幼少な姿に仮りたかったのであろう。ほかの理由は見いだせない。
では?
と当然、べつな疑いが付随してくる。
そのことすでに、そんな根拠のないことなら、大江時親なる兵学者が、当時、河内の山間に住んでいたというのも、あてにならない仮説ではないのか。