후리가나로 읽는 일본 고전
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
吉川 英治의 私本太平記(一)(しほんたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 246,214자 · 495화면
甘葛とはまた風味もかくべつ違いますので」
この引田妙源は、以前、又太郎高氏の父、貞氏の祐筆を勤めていたこともあり、ここでもその文書上の才能は代官経家に次ぐ地位の者だった。
「お、山里にも、もう蓬が萌え出たか」
又太郎がその一つ二つを喰べるのを、妙源はうれし気に見て。
「そうしておいで遊ばすと、御幼時のお姿も偲ばれてまいりまする。鑁阿寺の御参詣には、よう私もお供いたし、春なれば、寺ではよく蓬の餅を若殿へ差上げましたもので」
「そうそう、祖先の忌日ごとには、かならずあの菩提寺の庭を見た。――足利家代々の苔さびたおくつきに額ずいた後で」
「特に、若殿御元服の日、その報告を御先祖にささげられた後で、重臣どもの意見の相違から、ついに“置文”の披見なく、御帰館となったことは、なお御記憶でござりましょうが」
「はて、置文とは」
「足利家七代の君、若殿には御祖父にあたる家時公の御遺書のことでござりまする」
肺腑を突くとは、こんな言を擬して、一瞬、はっと息を呑ませる鋭さをいうのだろう。又太郎は、いや、かたわらの経家さえも、粛と、顔いろを研いで、固くなった。
――およそ足利家の者にとっては、先々代の主君家時の話というのは禁句だった。