후리가나로 읽는 일본 고전
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 聞書抄(ききがきしょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 108,821자 · 210화면
それから俄かに紫雲がたなびいて異香が熏じたり、虚空に花が降ったり音楽が聞えて来たりして、夫婦は忽ち金色の佛と変じ、黄金の蓮花に乗って天へ昇ってしまったのであるが、姫も乳人も眼がさめてみると、一生懸命に夫婦の裳裾にしがみ着いているつもりのが、実は佛前にかゝっている幡の脚に取り縋っていたのであった。そんな夢の話が世間へ知れたのは、大方その同じ晩にお籠りをしていた人々などがしゃべって歩いたのであろう、夜が明けてからもまだ紫の雲のたなびいているのが見えたとか、あたりに異香の熏じているのが分ったとか、大分大仰な噂が伝わって、末世と雖も誠の志があれば奇瑞が現れるのであると、一時はえらい評判になった。
木村常陸介にも十三になる娘があった。これは並びない美人であったから、かねて秀次から所望されていたけれども、常陸介は何と思ったか、ちと差支えがございますからと云って、母親に附けて越前へ下しておいたのであるが、最期の時に小童の野中清六を呼び、その方主人の供をして腹を切ろうと云う志は忝いが、しばらく長らえて北国へ下り、老母と、妻と、娘の身の上を何とか始末して貰えまいか、此の期に及び唯それだけが心がゝりであると云うので、いかさま御諚に従いましょうと、清六は直ぐに越前へ下った。