후리가나로 읽는 일본 고전
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 聞書抄(ききがきしょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 108,821자 · 210화면
の衆は、誰一人としてそれを申さぬ者はなく、あの時の御奉行治部少輔どのを呪わぬ者はござりませなんだ。それが、―――まあ、お聞きなされませ、その治部殿が、六年前に関白殿を曝し首になされたつい近くの橋の袂で、同じ姿におなりなさろうとは、因果でのうて何でござります」
語勢に力を付けたはずみに痰がつかえたのでもあろうか、喘息病みのように咽喉の奥をぜい/\鳴らして息を入れた。が、それにしても此の法師は、町の人たちが噂するような狂人であろうか、こんな工合に話す様子を今宵始めて見るのであるが、こうして面と向いながらその云うところに耳を傾けると、なるほど、奇人であるかは知れないが、狂人であるとは考えられない。事実を云えば、乳母はさっきから娘の手を取って一歩を前に蹈み出した姿勢のまゝ、もう少し聞いたら帰りましょう/\と思いつゝ、だん/\惹き込まれて行くのである。尤も乳母にしてみれば、さっきの私語を立ち聞きしたと云う以上、どう云うつもりで自分たちを呼び止めたのか、その点が気がゝりなのでもあったが、しかしどうやら害心を蔵していないだけは明かであった。そんなことよりも、多分自分たちが石田の一族であるのを察して、何か聴いて貰いたいものを持っているらしくもある。