후리가나로 읽는 일본 고전
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はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
久生 十蘭의 肌色の月(はだいろのつき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 50,706자 · 101화면
運送会社の集荷係が宅扱いの最後の梱包を運びだすと、この五年の間、宇野久美子の生活の砦だった二間つづきのアパートの部屋の中が、セットの組みあがらないテレビのスタジオのような空虚なようすになった。いままで洋服箪笥のあった壁の上に、芽出しの白膠木の葉繁みがレースのような繊細な影を落しているのが、なぜかひどく斬新な感じがした。
管理人の細君が挨拶にきた。
「おすみになりましたか」
「ええ、あらかた……ながながお世話になりました」
「宇野さん、和歌山なんだそうですね」
「ええ、和歌山よ」
「お郷里へお帰りになるんだって。テレビであなたの顔を見られなくなると思うと、さびしいですわ」
「こんなふうに休んでばかりいるんじゃ、ろくな仕事はできないでしょう。ほうぼうへ迷惑をかけるばかりで……二、三年、郷里でのんきにやって、また出なおしてくるわ」
「焦っちゃだめよ、ね。仲さんみたいなことになるのは不幸すぎるわ」
「あたしはだいじょうぶ」
「じゃ、お大切にね。元気で帰っていらっしゃい」
「ありがとう」
管理人の細君がひきとると、久美子はボール・ペンをだして、戦争の間、疎開していた伊那の谷の奥の農家へハガキを書いた。