일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

火野 葦平의 花と龍(はなとりゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 410,131자 · 824화면

아오조라 문고

御馳走は、河豚のサシミ、チリである。人数は二十人ほど、女が五六人。吉田親分の名ざしで、特別に、金五郎と新之助とが、座に加えられた。

金五郎は、裏口から入り、座敷の襖をあけた途端、はっとして、胸がどきんと鳴った。眼を皿にした。

(ちがうらしい)

気抜けしたような、安堵したような気持で、心に呟いた。

席に侍っている女たちのうち、銀杏返しに結った、黒襟の若い女を、金五郎は見ちがえたのである。いつか、道後温泉の「四国屋」で逢った女、牡丹に蝶の彫青をして、中盆と壺振りとを、あざやかな手さばきでやりながら、金五郎に声をかけて、にっこりと笑った女――横顔がそっくりだったので、その女かと思ったのだが、正面むくと、まるで、違っていた。

(ちがっていて、よかった)

あのとき、印象に残ったその女が、金五郎の心の中に占めている位置は、不可解なものであった。別に、どうと取り立てる感情でもなく、行きずりに見た花の記憶にすぎないのであるけれども、忘れている間にも、写真の乾板にいったん焼きつけられた映像のように、その全容が消えていなかった。

しかし、その花には、艶めかしさのほかに、危険な毒のようなものが感じられて、金五郎は、その女に、もう一度逢いたいと思っていたわけではなかった。