후리가나로 읽는 일본 고전
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ちゃのほん
茶の本
岡倉 由三郎
岡倉 由三郎의 茶の本(ちゃのほん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 3,279자 · 7화면
兄のその方面の心得は、明治の十三年に大学(一八八〇)をおえて後、まだ自分たちと同じく蠣殻町の父の家に住居のころ、一六か三八か日取りは記憶せぬが月に数回、師を聘して正式に茶の湯の道を学んだのが始めで、教えに見えたのは正阿弥という幕末の有名な茶人と記憶する。稽古のたびごとに、うら若かった嫂といっしょに、いたずら盛りの小伜かく申す自分も、ちょこなんとお相伴して、窮屈な茶室にしびれを切らせながら、結構な御ふくあいなどと、こまっちゃくれた挨拶を無意識に口にしたものであった。
兄はその後もこの道の修業を積むおりがおりおりはあったであろうが、嫂の師事した石塚宗匠からの間接の教えも、大いに悟入に資したことと思う。また茶に関する書物の渉猟も、禅学のそれと並んで、年とともに進んだに違いない。そういう方面の多くの書きものの中で、まず大いに兄を芸術鑑賞の立場からも動かしたろうと思われるのは、なんと言っても陸羽の『茶経』であったろうと自分は想像する。あの天狗の落とし子のような彼のおいたちがすでに仙人らしい飄逸味に富んでいるが、茶に沸かす川の水の清さを桶の中から味わい分けた物語のごとき、いやしくも文芸の道に一片の了解をいだく者の、会心の笑みを漏らさずには読み得ぬ一節ではあるまいか。