일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

永井 荷風의 荷風随筆集(上)(かつしかみやげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 133,224자 · 269화면

아오조라 문고

そして、この何物もない楼上から、この市中の燈火を見下し、この鐘声とこの車馬の響をかわるがわるに聴澄ましながら、わが鴎外先生は静に書を読みまた筆を執られるのかと思うと、実にこの時ほど私は先生の風貌をば、シャワンが壁画中の人物同様神秘に感じた事はなかった。

ところが、「ヤア大変お待たせした。失敬失敬。」といって、先生は書生のように二階の梯子段を上って来られたのである。金巾の白い襯衣一枚、その下には赤い筋のはいった軍服のヅボンを穿いておられたので、何の事はない、鴎外先生は日曜貸間の二階か何かでごろごろしている兵隊さんのように見えた。

「暑い時はこれに限る。一番凉しい。」といいながら先生は女中の持運ぶ銀の皿を私の方に押出して葉巻をすすめられた。先生は陸軍省の医務局長室で私に対談せられる時にもきまって葉巻を勧められる。もし先生の生涯に些かたりとも贅沢らしい事があるとするならば、それはこの葉巻だけであろう。

この夕、私は親しくオイケンの哲学に関する先生の感想を伺って、夜も九時過再び千駄木の崖道をば根津権現の方へ下り、不忍池の後を廻ると、ここにも聳え立つ東照宮の裏手一面の崖に、木の間の星を数えながらやがて広小路の電車に乗った。