후리가나로 읽는 일본 고전
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かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
永井 荷風의 荷風随筆集(上)(かつしかみやげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 133,224자 · 269화면
さりながら、かの端唄の文句にも、色気ないとて苦にせまい賤が伏家に月もさす。徒に悲み憤って身を破るが如きはけだし賢人のなさざる処。われらが住む東京の都市いかに醜く汚しというとも、ここに住みここに朝夕を送るかぎり、醜き中にも幾分の美を捜り汚き中にもまた何かの趣を見出し、以て気は心とやら、無理やりにも少しは居心地住心地のよいように自ら思いなす処がなければならぬ。これ元来が主意というものなき我が日和下駄の散歩の聊か以て主意とする処ではないか。
そもそも東京市はその面積と人口においては既に世界屈指の大都である。この盛況は銀座日本橋の如き繁華の街路を歩むよりも、山の手の坂に立って遥に市中を眺望する時、誰が目にも容易く感じ得らるる処である。この都に生れ育ちて四時の風物何一つ珍しい事もないまでに馴れ過ぎてしまったわれらさえ、折あって九段坂、三田聖坂、あるいは霞ヶ関を昇降する時には覚えずその眺望の大なるに歩みを留めるではないか。東京市は坂の上の眺望によって最もよくその偉大を示すというべきである。古来その眺望よりして最も名高きは赤坂霊南坂上より芝西の久保へ下りる江戸見坂である。