후리가나로 읽는 일본 고전
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しょうたく
荷風随筆集(下)〔全2冊〕
永井 荷風
永井 荷風의 荷風随筆集(下)〔全2冊〕(しょうたく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 36,633자 · 74화면
父はわたくしに裏手の一室を与えて滞留中の居間にさせられた。この室にはベランダはなかったが、バルコンのついた仏蘭西風の窓に凭ると、芝生の向に事務所になった会社の建物と、石塀の彼方に道路を隔てて日本領事館の建物が見える。その頃には日本の租界はなかったので、領事館を始め、日本の会社や商店は大抵美租界の一隅にあった。唯横浜正金銀行と三井物産会社とが英租界の最も繁華な河岸通にあったのだという。
美租界と英租界との間に運河があって、虹口橋とか呼ばれた橋がかかっていた。橋をわたると黄浦江の岸に臨んで洋式の公園がある。わたくしは晩餐をすましてから、会社の人に導かれて、この公園を散歩したが、一時間あまりで帰って来たので、その道程は往復しても日本の一里を越していまいと思った。
やがて裏手の一室に這入って、寝に就いたが、わたくしは旅のつかれを知りながらなかなか寐つかれなかった。わたくしは上陸したその瞬間から唯物珍らしいというよりも、何やら最少し深刻な感激に打たれていたのであった。その頃にはエキゾチズムという語はまだ知ろうはずもなかったので、わたくしは官覚の興奮していることだけは心づいていながら、これを自覚しこれを解剖するだけの智識がなかったのである。