일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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しょうたく

荷風随筆集(下)〔全2冊〕

永井 荷風

永井 荷風의 荷風随筆集(下)〔全2冊〕(しょうたく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 36,633자 · 74화면

아오조라 문고

その後現在の家に移居してもう四、五年になる。その間に抽斗の草稿は一枚二枚と剥ぎ裂かれて、煙管の脂を拭う紙捻になったり、ランプの油壺やホヤを拭う反古紙になったりして、百枚ほどの草稿は今既に幾枚をも余さなくなった。風雨一過するごとに電燈の消えてしまう今の世に旧時代の行燈とランプとは、家に必須の具たることをわたしはここに一言して置こう。

わたしは何故百枚ほどの草稿を棄ててしまったかというに、それはいよいよ本題に進入るに当って、まず作中の主人公となすべき婦人の性格を描写しようとして、わたしは遽にわが観察のなお熟していなかった事を知ったからである。わたしは主人公とすべき或婦人が米国の大学を卒業して日本に帰った後、女流の文学者と交際し神田青年会館に開かれる或婦人雑誌主催の文芸講演会に臨み一場の演説をなす一段に至って、筆を擱いて歎息した。

初めわたしはさして苦しまずに、女主人公の老父がその愛嬢の帰朝を待つ胸中を描き得たのは、維新前後に人と為った人物の性行については、とにかく自分だけでは安心のつく程度まで了解し得るところがあったからである。これに反して当時のいわゆる新しい女の性格感情については、どことなく霧中に物を見るような気がしてならなかった。