후리가나로 읽는 일본 고전
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おちむしゃにっき
落武者日記
山本 周五郎
山本 周五郎의 落武者日記(おちむしゃにっき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,460자 · 23화면
に、せめてお傷の手当なりとして行ってくださいまし」
「……かたじけない」
泪をうかべた娘の眼を、祐八郎は泣きたいような感謝の気持で見上げた、……はじめて見る眸子とは思えなかった、真実の籠ったその声も、はじめて聞く声のようではなかった。
「では申しかねるが、御親切にあまえて……」
「さあわたくしの肩へお捉りくださいまし。いいえ、野良育ちでございます、どうぞ御遠慮なくお掛りくださいまし」
娘はまるい肩を、かいがいしく男の腋の下へ入れた。祐八郎は歯を喰いしばって立ち、云われるままに娘の肩へもたれかかった。
崖の下を少し行くと、谿流に沿った岩の上に、水手桶と担い棒が置いてあった。娘はそこへ水を汲みに来て彼をみつけたらしい。……それから右へ、爪先登りに二十間ほど行くと、径は粟畑の前へ出た。熟した果のみごとに生っている柿の木が十四五本、その間をぬけるとすぐ、高い風除けの木に囲まれて、貧しげな農家が一棟建っていた。
「ここでございます、むさ苦しゅうございますけれど、どうぞ我慢あそばして」
「とんだ御雑作をかけます」
「もうそんな御会釈はお止めくださいまし」
云いながら、娘はほとんど男を担ぎあげるようにして、庭へ向いた縁側へと掛けさせ、ふと祐八郎の眼を見て明るく微笑した。