후리가나로 읽는 일본 고전
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 蓼喰う虫(たでくうむし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 110,066자 · 216화면
その十一
現に今ここを歩いているお久なんかもその一人ではないか。今から五十年も百年も前に、ちょうどお久のような女が、あの着物であの帯で、春の日なかを弁当包みを提げながら、矢張この路を河原の芝居へ通ったかも知れない。それとも又あの格子の中で「ゆき」を弾いていたかも知れない。まことにお久こそは封建の世から抜け出して来た幻影であった。
その十一
淡路の人に云わせると人形浄瑠璃はこの嶋が元祖であると云う。今でも洲本から福良へかよう街道のほとりの市村と云う村へ行けば、人形の座が七座ほどある。昔はそこに三十六座もあったくらいで、俗にその村を人形村と呼んでいる。いつの時代のことであったか、都を落ちて来てこの村に居を構えた公卿が、有りのすさびに傀儡を作りそれを動かしたのが始めで、有名な淡路源之丞と云うのはその公卿の子孫であるそうな。その一家は今日でも村の旧家として通り、立派な邸に住んでいて、この島だけでなく、四国路や中国路まで興行に出かけるのであるが、しかし座を持っているのは源之丞の一族ばかりではない。大袈裟に云えば一村ことごとく義太夫語りか、三味線弾きか、人形使いか、太夫元かでない者はなく、それらの人々は農繁期には畑へ出て働き、百姓の仕事が暇になる季節にそれぞれ一座を組織して島の此処彼処を打って廻る。