후리가나로 읽는 일본 고전
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とうじゅうろうのこい
藤十郎の恋・恩讐の彼方に
菊池 寛
菊池 寛의 藤十郎の恋・恩讐の彼方に(とうじゅうろうのこい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 37,146자 · 74화면
浅黄絖の引かえしに折びろうどの帯をしめ、薄色の絹足袋をはいた年増姿は、又なく艶に美しかった。藤十郎は、昔から、お梶を知っている。若衆方の随一の美形と云われた藤十郎が美しいか、歌妓のお梶が美しいかと云う物争いは、二十年の昔には、四条の茶屋に遊ぶ大尽達の口に上った事さえある。その頃からの馴染である。が、藤十郎は、今までに、お梶の姿を心にとめて、見たこともない。ただ路傍の花に対するような、淡々たる一瞥を与えていたに過ぎなかった。
が、今宵は、この人妻の姿が、云い知れぬ魅力を以て、ぐんぐんと彼の眼の中に、迫って来るのを覚えた。密夫と云う彼にとっては、未だ踏んでみた事のない恋の領域の事を、この四五日、一心に思い詰めていた為だろう。今までは余り彼の念頭になかった人妻と云う女性の特別な種類が、彼の心に不思議な魅力を持ち始めて、今お梶の姿となって、ぐんぐん迫って来るように覚えた。
藤十郎のお梶を見詰める眸が、異常な興奮で、燃え始めたのは無論である。人妻であると云う道徳的な柵が取払れて、その古木が却って、彼の慾情を培う、薪木として投ぜられたようである。彼は、娘や後家や歌妓や遊女などに、相対した時には、かつふつ懐いた事のないような、不思議な物狂わしい情熱が、彼の心と身体とを、沸々燃やし始めたのである。