후리가나로 읽는 일본 고전
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むし
虫
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 虫(むし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,053자 · 86화면
目をふさぐと、まぶたの裏の暗闇の中に、彼女の様々な姿が、大写しになって、悩ましくも蠢くのだ。小学時代の、天女の様に清純な笑顔にダブッて、半裸体のサロメの嬌笑が浮き出すかと思うと、金色の乳覆いで蓋をした、サロメの雄大な胸が、波の様に息吐いたり、靨のはいったたくましい二の腕が、まぶた一杯に蛇の踊りを踊ったり、それらの、おさえつける様な、凶暴な姿態に混って、大柄な和服姿の彼女が、張り切った縮緬の膝をすりよせて、じっと上目に見つめながら、彼の話を聞いている、いとしい姿が、色々な角度で、身体のあらゆる隅々が大写しになって、彼の心をかき乱すのであった。考えることも、読むことも、書くことも、全く不可能であった。薄暗い部屋の隅に立っている、木彫りの菩薩像さえが、ややともすれば、悩ましい聯想の種となった。
ある晩、あまりに堪え難かったので、彼は思い切って、兼ねて考えていたことを、実行して見る気になった。陰獣の癖に、彼は少しばかりお洒落だったので、いつも外出する時はそうしていたのだが、その晩も、婆やに風呂を焚かせ、身だしなみをして、洋服に着かえると、吾妻橋の袂から自動車を傭って、その時芙蓉の出勤していた、S劇場へと向ったのである。