후리가나로 읽는 일본 고전
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へんさいじょき
貢太郎見聞録
田中 貢太郎
田中 貢太郎의 貢太郎見聞録(へんさいじょき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 29,162자 · 59화면
火に包まれていた砲兵工廠もこちらの方は焼けなかったと見えて無傷の建物が聳えていたが、煉瓦塀は爆破したように砕けて崩れていた。坂をあがり詰めて右に折れ曲ったところが砲工学校の塀であった。瓦と土とで築いた水戸邸の遺物としての古い古い塀も、ばらばらに崩れていた。私はそれを見て、水戸屋敷の記念物もとうとうなくなったなと思って、ちょと惜しいような気がした。数日して藤坂上の友人に聞くと、水戸邸の遺物として残っているのは、その塀と涵徳殿と後楽園の入口にある二棟の土蔵とであったが、その涵徳殿も土蔵も潰れたとのことであった。
私は土塀の崩潰を惜しむとともに、藤田東湖のことをすぐ思い浮べた。色の黒い野な顔をした田舎武士は、安政乙卯の年十月二日の午後十時、かの有名な安政の大地震に逢って、母を救い出そうとして家の中へ入ったところで、家が潰れて圧死した。私は東湖のことから新井白石を連想した。「折たく柴の記」によると、白石は元禄癸未の年十一月二十二日の夜大地震に逢ったので藩邸へ伺候した。白石はそのころ湯島に住んでいたが、家のうしろは高い崖になっていた。その白石の家は二十九日の夜になって火に逢った。