후리가나로 읽는 일본 고전
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
夢野 久作의 近世快人伝(きんせいかいじんでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 79,469자 · 157화면
ところでこの辺までは先ず奈良原到の得意の世界であった。
幸いにして議会が開設されるにはされたが、その当初は選挙といっても全然暴力選挙のダイナマイト・ドン時代で、選挙運動者は皆、水盃の生命がけであった。すこしばかりの左翼や右翼のテロが暴露しても満天下の新聞紙が青くなって震え出すような現代とは雲泥の差があったので、従って奈良原到一流のモノスゴイ睨みが到る処に、活躍の価値を発見したものであったが、それからのち、日本政界の腐敗堕落が甚しくなるに連れて、換言すれば天下が泰平になるに連れて、好漢、奈良原到も次第に不遇の地位に墜ちて来た。
しかもその不遇たるや尋常一様の不遇ではなかった。遂には玄洋社一派とさえ相容れなくなった位、極度に徹底した正義観念――もしくは病的に近い潔癖に禍された御蔭で、奈良原到翁は殆んど食うや喰わずの惨澹たる一生を終ったのであった。
それから後の奈良原到翁の経歴は世間の感情から非常に遠ざかっていたし、筆者も詳しくは聞いていないのであるが大略左のような簡単なものであったらしい。
明治二十年頃(?)福岡市須崎お台場に在る須崎監獄の典獄(刑務所長)となり、妻帯後間もなく解職し、爾後、数年閑居、日清戦役後、台湾の巡査となって生蕃討伐に従事した。