후리가나로 읽는 일본 고전
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きょうどてきみかく
郷土的味覚
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 郷土的味覚(きょうどてきみかく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 2,946자 · 6화면
日常の環境の中であまりにわれわれに近く親しいために、かえってその存在の価値を意識しなかったようなものが、ひとたびその環境を離れ見失った時になって、最も強くわれわれの追憶を刺戟することがしばしばある。それで郷里に居た時には少しも珍しくもなんともなかったものが、郷里を離れて他国に移り住んでからはかえって最も珍しくなつかしいものになる。そういう例は色々ある中にも最も手近なところで若干の食物が数えられる。その一つは寒竹の筍である。
高知近傍には寒竹の垣根が多い。隙間なく密生しても活力を失わないという特徴があるために垣根の適当な素材として選ばれたのであろう。あれは何月頃であろうか。とにかくうすら寒い時候に可愛らしい筍をにょきにょきと簇生させる。引抜くと、きゅうっきゅうっと小気味の好い音を出す。軟らかい緑の茎に紫色の隈取りがあって美しい。なまで噛むと特徴ある青臭い香がする。
年取った祖母と幼い自分とで宅の垣根をせせり歩いてそうけ(笊)に一杯の寒竹を採るのは容易であった。そうして黒光りのする台所の板間で、薄暗い石油ランプの燈下で一つ一つ皮を剥いでいる。そういう光景が一つの古い煤けた油画の画面のような形をとって四十余年後の記憶の中に浮上がって来るのである。