후리가나로 읽는 일본 고전
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はりのきのいけにえ
針の木のいけにえ
石川 欣一
石川 欣一의 針の木のいけにえ(はりのきのいけにえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 6,187자 · 13화면
「百瀬さん、百瀬さん!」
*
ふとんの中で百瀬慎太郎氏は目をさました。深いねむりに落ちていたのであるが、声を聞くと同時に何事かハッと胸を打つものがあったという。とび起きて大戸のくぐりを引きあけると、まろび込んだのが大和由松、「どうした?」というまもなく近藤氏が入って来た。
「どうした?」「やられた!」
*
遭難当時の状況は早大山岳部が詳細にわたって発表した。要するに大沢小屋に滞在して蓮華、針ノ木、スバリ等の山々に登る予定であったが、雪が降り続くので登山の見込みがつかず、わずかに小屋の外で練習をするにとどまった。しかるに三十日は、雪こそ多少降っていたが大した荒れではないので、すこし遠くへ出かけようと思って針ノ木の本谷を電光形に登って行った。そして十一時ごろ赤石沢の落ち口の下で(通称「ノド」という狭いところ、小屋から十町ばかり上)第五回目かのキック・ターンをしようとしている時(渡辺氏はすでにターンを終わり右に向かっていた)リーダアの近藤氏が風のような音を聞いた。なだれだな! と直感して、「来たぞ!」と叫ぶまもなく、もうからだは雪につつまれていた。