후리가나로 읽는 일본 고전
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てつのしょじょ
鉄の処女
大倉 燁子
大倉 燁子의 鉄の処女(てつのしょじょ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 20,706자 · 42화면
団長は直ぐ飛び出して来て、にこにこ笑いながら中腰を屈めた。これがあの仁王様のような恐しい、楽屋裏の暴君かと、思わず私は夫人の顔を見て苦笑した。
団長はしきりに小首を傾げて考えていたが、
「どうもこの中にはそういう女も男も居りませんな、シンガポールから来たって奴はいるにはいますが――」
と云って楽屋の隅へ眼をやった。そこにはいつぞや見た狒々の男が脱ぎ捨てた毛皮の横に蹲っていた。
「あの人ですか、シンガポールから来たっていうのは?」
夫人の言葉に狒々の男はハッとしたらしく、二人の方を凝と見た。
夫人は団長に耳打ちすると、つかつかとその男の傍へ寄って、何事か小声で囁いた。男はちょっと狼狽したらしかったが、夫人はそれには構わず、団長に会釈し私を連れて外へ出た。
少時待っていると、軈て洋服に着換えた狒々の男が、おずおずと私達の方へ近づいて来た。見るからに憔悴した顔をして頬骨の突き出たのが目につくほど目が落ち窪んでいるが、しかしそれにしても割合に整った風采のいい顔や、熱帯地方に長くいたらしいその皮膚の色は、どこかで一度見たような気がする、が、どうしても思い出せなかった。