후리가나로 읽는 일본 고전
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しっぽうのはしら
鏡花短編集
泉 鏡花
泉 鏡花의 鏡花短編集(しっぽうのはしら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,632자 · 32화면
栃の実
朝六つの橋を、その明方に渡った――この橋のある処は、いま麻生津という里である。それから三里ばかりで武生に着いた。みちみち可懐い白山にわかれ、日野ヶ峰に迎えられ、やがて、越前の御嶽の山懐に抱かれた事はいうまでもなかろう。――武生は昔の府中である。
その年は八月中旬、近江、越前の国境に凄じい山嘯の洪水があって、いつも敦賀――其処から汽車が通じていた――へ行く順路の、春日野峠を越えて、大良、大日枝、山岨を断崕の海に沿う新道は、崖くずれのために、全く道の塞った事は、もう金沢を立つ時から分っていた。
前夜、福井に一泊して、その朝六つ橋、麻生津を、まだ山かつらに月影を結ぶ頃、霧の中を俥で過ぎて、九時頃武生に着いたのであった。――誰もいう……此処は水の美しい、女のきれいな処である。柳屋の柳の陰に、門走る谿河の流に立つ姿は、まだ朝霧をそのままの萩にも女郎花にも較べらるる。が、それどころではない。前途のきづかわしさは、俥もこの宿で留まって、あとの山路は、その、いずれに向っても、もはや通じないと言うのである。
茶店の縁に腰を掛けて、渋茶を飲みながら評議をした。……春日野の新道一条、勿論不可い。