후리가나로 읽는 일본 고전
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
坂口 安吾의 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇(いずこへ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 119,879자 · 242화면
併し毎日頼まれるので、私も根気よく毎日辰夫の母を訪ねた。すると此の女は私の根気に癇癪を起して日毎に私への軽蔑を深め、若し私が、「いや、辰夫は明らかに全快しています」等と言うならば、忽ちギョッと怯えた様をして、私も亦辰夫と共に精神に異常があるのだと頻りに疑ぐり出すのであった。それにも拘らず私は随分根気よく彼処へも通った。そして私は当然拒絶を承知した諦めのいい集金人のように、その頃私は仏教を勉強する堕落生であったが、さながら魚のように機嫌よく街を泳いで埃を浴びていた。そして私は先ず門口に立って店にいる老婦人を見出すと、極めて愛想よくニヤニヤし乍ら、其の日の天候に就て腹蔵ない意見を述べているのであった。そして老婆の悪口と冷笑を一くさり見聞すると、私は丁寧に一礼して、心愉しい人のように帰りはじめるのであった。
斯の状態が右と左に長く並行して、併し病院の一時間は愈々堪え難いものになった。私達の神経は次第にもつれはじめていた。
辰夫は何事にも諦めよく深く自らを卑下していたが、自分の家族に就てだけは温い愛を信頼していた。いや、彼は決してそれを信じてはいないのだが、信じようとせずには此の冷い檻の中に生き続ける力が湧かないのである。