일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

坂口 安吾의 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇(いずこへ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 119,879자 · 242화면

아오조라 문고

小田原の山は蜜柑等の灌木だけで高い樹木が全くないから陰がない。そして空が澄んでいる。牧野さんの精神の抒情には靄というものが殆どないのは彼を育てたこの風景のせだろうと私は考えている。

小田原の記憶というとそれだけで、私は小田原の町を知らない。そのくせ毎晩小田原の町を彷徨していたのだ。酔い痴れていたのである。

山の頂上に豪華なキャッフェがある。そこから見ると街の灯が谷底の中で輝いていてひどく綺麗だ。精神の高まるような気がする。その酒場で私は小田原の医者と知り合って共に酒を飲んだ筈だ。この医者は三十を過ぎたばかりの婦人科医で、血を見ると酒を飲まずにいられないと言うのである。その人の顔は忘れたが音声だけは記憶していた。

それから一年半後のことだが、銀座裏のおでん屋でこの医者に再会した。私は曾て眼下に見下した小田原のあの澄みきった街の灯を思いだしながら生き生きと彼に言った。

「あの山上の酒場は今も盛大でしょうね! 谷底のような下界に街の灯をみつめて、あの呑んだくれた時でさえ魂が高まるような感動を受けたのですが……」

「山上の酒場? そんな詩的な場所は小田原にありませんよ」