후리가나로 읽는 일본 고전
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ひやくにもおもてとかげ
飛躍にも表と蔭
山本 周五郎
山本 周五郎의 飛躍にも表と蔭(ひやくにもおもてとかげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 1,040자 · 3화면
九日目は平凡な勝負が多かった。それだけに各力士のすまひぶりの特徴がいろいろと分って面白かった。相撲ぶりが飛躍しているときでも、その飛躍のなかに個性の華を咲かせる力士と、個性が飛躍の蔭に隠れてしまう力士とがある。前者は竜が雲を得た壮観であり、後者は足軽が兜首を討止める偉容でもあろうか、とにかくどちらも見た眼に派手な面白い勝負である、けれどもその面白さは割切れがよすぎてじっくり胸へしみこんで来るものに乏しい。此日にも番狂わせ的な勝負が無かったのではないだろうが、どちらかというと地味な、割切れの悪いものが多かったように思う。そしてそこに各力士の底にあるすまひぶりがいろいろと表われていた。
鯱ノ里と笠置山の一番が殊にそれである、笠置山のすまひぶりは合理性を押し切ろうとするところにあるようだ、去年の春場所五日目に前田山と合ったが、同じようなすまひぶりをもつこの一番はまことにすばらしく、智と力とがみごとに合致して完璧の勝負をつくりあげたものだ。けれど鯱ノ里との立合にはまったくそうした壮美さを発することが出来ず、笠置山はあっけなく突放されて負けている。これは彼が自分に納得のいく相撲をとろうという主観性が弱点を表わしたのである。