후리가나로 읽는 일본 고전
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きりん
麒麟
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 麒麟(きりん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 9,040자 · 18화면
「何卒お前の其の不思議な眼で、私の瞳を睨めてくれるな。其の柔い腕で、私の体を縛ってくれるな。私は聖人から罪悪に打ち克つ道を教わったが、まだ美しきものゝ力を防ぐ術を知らないから。」
と、霊公は夫人の手を拂い除けて、顔を背けた。
「あゝ、あの孔丘と云う男は、何時の間にかあなたを妾の手から奪って了った。妾が昔からあなたを愛して居なかったのに不思議はない。しかし、あなたが妾を愛さぬと云う法はありませぬ。」
こう云った南子の唇は、激しい怒に燃えて居た。夫人には此の国に嫁ぐ前から、宋の公子の宋朝と云う密夫があった。夫人の怒は、夫の愛情の衰えた事よりも、夫の心を支配する力を失った事にあった。
「私はお前を愛さぬと云うではない。今日から私は、夫が妻を愛するようにお前を愛しよう。今迄私は、奴隷が主に事えるように、人間が神を崇めるように、お前を愛して居た。私の国を捧げ、私の富を捧げ、私の民を捧げ、私の命を捧げて、お前の歓を購う事が、私の今迄の仕事であった。けれども聖人の言葉によって、其れよりも貴い仕事のある事を知った。今迄はお前の肉体の美しさが、私に取って最上の力であった。