후리가나로 읽는 일본 고전
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さとう
麻布襍記 ――附・自選荷風百句
永井 荷風
永井 荷風의 麻布襍記 ――附・自選荷風百句(さとう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 37,256자 · 77화면
」
老人は目を細くして箱の蓋を燈火にかざしながら、「これでよい。小島男爵の書もしばらく拝見せんから。これにしましょう。」
老妻は正月の画幅を下して箱の中にしまうと、老人は新に掛けた書幅の文字を読下しながら、
「男爵も此の時分はまだ御盛であったな。丁酉の歳季春というとわしが辞職する前の年だ。」
小島男爵というのは老人が勤めていた官省の次官で後に大臣にもなった。現在は宮中顧問官である。老妻も首をのばして床の間を眺めていたが、
「去年の今時分で御在ましたね。あの新聞の騒ぎは。何ですか今だに真実のことだとは思えません。」と言った。
男爵の令嬢が書生と家出した事件は一年過ぎた今日に至っても時折婦人雑誌の紙面を賑す材料にされているのである。
「魔がさすというのはああいう事だろう。」
「それを思うと宅なぞはほんとに仕合せでございます。不足をいう事は御在ません。」
「そうさ。娘は二人とも無事に片付いてしまったのだからな。」
風の向が変ったのか雨戸一面に雨の吹付ける音がした。老人は不安らしく振返ったが、また独語のように、「片付くとはよく云ったものだ。清子が嫁に行く時は荷物が一ぱいで廊下もうっかり歩かれん位だったな。