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ああぎょくはいにはなうけて

ああ玉杯に花うけて

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页

青空文庫

チビ公は日曜ごとには朝から晩まで遊ぶことができるようになった、塾の生徒は師範学校や中学の生徒のように費用に飽かして遠足したり活動を見にゆくことができないのでいつも塾の前の広場でランニング、高跳びなどをして遊んでいた。それが安場がきてからキャッチボールがはやりだした、安場は東京の友達からりっぱなミットをもらってきてくれた、チビ公は光一のところへグローブの古いやつをもらいにいった。

「あるよ、いくらでもあるよ」

光一は古いグローブ二つと新しいグローブ一つとをだしてくれた。

「こんなにもらってもいいんですか」と千三はいった。

「ぼくは買ってもらうからいいよ」と光一はいった。

「これは新しいんですね」

「心配するなよ」

グローブ三つにボール二つ、それをもらって千三が塾へいったとき一同は万歳を唱えた、勉強はできなくとも貧乏人の子はスポーツがうまい、一同はだんだん上達した。

あるとき千三が豆腐を売りまわってると道で光一にあった。

「おいボールがうまくなったそうだね」

光一は例のごとく上品な目に笑みをたたえていった。

「少しうまくなりました」

光一は妙にしずんだ顔をして千三の目を見つめた。