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あすへのわだい
あすへの話題
中谷 宇吉郎
「日本経済新聞」1956(昭和31)年5月~11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,402 字 · 7 页
ものであった。タナに並べてあるだけで、ざっと見たところ、三百種くらいもあっただろうか。実に千差万別の色があって、不思議なトーンの中間色が、むやみとたくさんある。パステルの色なども、実にたくさんあるもので、昔ベルリンでそのセットを買ったときに、ひどく驚いた経験がある。しかし日本の岩絵具の色の豊富さは、それ以上である。あんなに多くの色を、使いこなせるものかと思ったくらいである。
岩絵具には天然のものと、人工のものとがあって、人工のは、陶器のウワグスリを粉にしたようなものだという話である。千度以上で焼いてあるので、どんなに熱をかけても大丈夫だと言っていたが、なるほどそうであろう。絵具にはまったくの素人がこういうことに興味を持つのは、ちょっとわけがあるのである。私の教室を出たO博士が、現在芸大で物理を教えているが、岩絵具の物理的研究を思い立って、先日いろいろな絵具を送ってきた。私たちの教室にある電子顕微鏡で、粒子の写真をとってくれというのである。
岩絵具の色は、化学的性質だけでは決まらず、粒子の形や大きさもいちじるしく関係する。たいていの物質は、非常に細かい粉にすると白くなる。