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あそび
あそび
「三田文學」1910(明治43)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,358 字 · 21 页
こんな時は木村の空想も悪戯をし出す事がある。分業というものも、貧乏籤を引いたもののためには、随分詰まらない事になるものだなどとも思う。しかし不平は感じない。そんならと云って、これが自分の運だと諦めているという fataliste らしい思想を持っているのでもない。どうかすると、こんな事は罷めたらどうだろうなどとも思う。それから罷めた先きを考えて見る。今の身の上で、ランプの下で著作をするように、朝から晩まで著作をすることになったとして見る。この男は著作をするときも、子供が好きな遊びをするような心持になっている。それは苦しい処がないという意味ではない。どんな sport をしたって、障礙を凌ぐことはある。また芸術が笑談でないことを知らないのでもない。自分が手に持っている道具も、真の鉅匠大家の手に渡れば、世界を動かす作品をも造り出すものだとは自覚している。自覚していながら、遊びの心持になっているのである。ガンベッタの兵が、あるとき突撃をし掛けて鋒が鈍った。ガンベッタが喇叭を吹けと云った。そしたら進撃の譜は吹かないで、rveil の譜を吹いた。イタリア人は生死の境に立っていても、遊びの心持がある。