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あのかお

あの顔

大倉 燁子

「ロック 三巻六号」1948(昭和23)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,009 字 · 22 页

青空文庫

3

私は自分の愚痴を聞いてもらえるし、同情してもくれるので、主人には内緒で小遣を与えておりました。が、段々無心が烈しくなり、額も多くなるので私も少し困り始めました」

「働けるのに働かない、という人が一番困りますよ」

「主人に云えばなまけ者に小遣なんかやるナと申されます。私が与えなければどこからもお金の出どころがないのを知っていますから仕方なく、お金の代りに衣類を渡して、これを売りなさい、と申すような事も度々ありました。弘さんはその度に浪子姉さんにすまない、と云って、眼に涙を浮べるのです。心はほんとにやさしい人なのですが、何かひどいショックを受けたり、激怒したりすると発作を起してしまうのです。何という可哀想な情けない病気を持っているのでしょうか、これだけお話ししたら、弘さんの性格もほぼ御想像がつくことと存じます」

3

彼女は言葉を続けて、

「愛子は日一日と可愛くなります。夫は家へ帰るのは赤ン坊を見るためで、愛子をあやしたり、抱いたりしています。愛子を中心としての話ばかりで、赤ン坊を離しては私達の夫婦関係というものは全く水のような冷めたいものになってしまうのです。