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あるふゆのばんのこと

ある冬の晩のこと

小川 未明

「婦人倶楽部」1928(昭和3)年4月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,140 字 · 9 页

青空文庫

「おばさん、わたしは困っています。お母さんは、家に病気でねているのです。わたしは、まだ昼のご飯も食べません。どうか、わたしに、おあしをくださいな。」と、頼みました。

彼女は、これを聞くと、当惑せずにはいられなかったのでした。自分はどうしたら、いいだろう? なぜこの子は、自分のような、貧しい困っているものに訴えたのだろうか。ほかのお金のありそうな人に、頼んでくれればよかったものをと思いました。がまた、彼女はこの世の中に、困っているものは、ひとり、自分ばかりじゃない。こうして、まだ年のいかない子供が、この寒冬の下にふるえていると思うと、つれなく、断ることができなかったのです。

「まあ、それはかわいそうに。私も、もう日が暮れて困っているのですよ。ここに、これんばかりしかお金がありません、少ないがこれだけ、あなたにあげましょう。」と、哀れな女は、軽い財布を振って、少女にいくらかお金を与えたものでした。少女はそれを手に受けると、

「おばさん、ありがとう、おばさん、ご恩は忘れませんよ。わたしの力でできることなら、おばさんになんでもいたします……。」といいました。